介護施設と口腔ケア|誤嚥性肺炎の予防について

誤嚥性肺炎の予防について

高齢者には口腔ケア

高齢者には口腔ケアが欠かせない理由があります。日本人の死亡原因の上位にある「肺炎」には、高齢者の誤嚥による肺炎、誤嚥性肺炎が多くみられます。本来、食道に送られるはずの食べ物が、飲み込む力が弱くなってきている高齢者の場合、誤って気管に入り、その細菌が肺に入り込んで炎症をおこすものです。

 

また高齢者の場合、口の中の残留物や唾液が少しずつ誤嚥されていることもあります。口腔内で繁殖した細菌が、唾液などによって気管の中に入ることでも誤嚥性肺炎は引き起こります。また、口腔ケアは誤嚥性肺炎の予防の他にも、口腔機能の改善や認知症の予防にもつながると言われています。

口腔ケアを行わないとどうなるの?

介護が必要な状態になると、自力で口腔ケアを十分に行えなくなることがあります。では、十分な口腔ケアが行えない場合、どのような影響があるのか見てみましょう。

 

口腔内の細菌が及ぼす影響について

口腔内には300〜700種類の細菌が生息していると言われています。十分な口腔ケアが行われないと、細菌が約1兆個にもなるのです。この細菌は血管を通り、全身の様々な臓器に影響を及ぼすことになります。特に、高血圧や糖尿病の原因の1つと言われ、さらに脳血管疾患や感染性心内膜炎などにかかる危険性も高くなります。

 

誤嚥性肺炎を起こす可能性

高齢になると飲み込む力「嚥下」に障害が起こることがあります。嚥下障害があると、食べ物を飲み込む時に気管に食べ物が入りやすくなります。さらに食事以外の時に起こる「不顕性誤嚥」により、唾液が気管に入ってしまうこともあります。口腔内が汚れていると、細菌が繁殖しやすくなります。これが気管に入ることによって、肺炎を起こす原因となります。

 

口腔内感染症を起こす可能性

口腔内が汚れていると、細菌が繁殖して口内炎や歯周病の原因となります。口内炎があると、食事の時に痛みが出たりしみたりするため、食欲が落ちてしまうことが考えられます。栄養状態が悪くなると、体力や免疫力が低下し感染症にかかる危険性が高くなります。

 

口腔ケアが不足すると、歯肉炎が起こり歯周炎へと進んでいきます。歯周炎が起こると歯肉の炎症が起こり、次第に歯がぐらつくように最終的には歯が抜けてしまいます。歯を失い、噛んで食べることができない状態は、認知症や運動機能の低下などにつながります。

口腔ケアの目的と効果

口腔内の汚れは、口の中の影響だけにとどまらず、全身状態に大きな影響を与えることがわかりましたね。入れ歯でも寝たきりでも、口腔ケアをしっかり行うことが重要なのです。口腔ケアの目的3つをみていきましょう。

 

口腔内の細菌の繁殖を防ぐ

口腔内で繁殖した細菌は、誤嚥性肺炎や全身の病気を引き起こす原因の一つとなります。口腔ケアをしっかりと行うことは、これらの感染症を予防し全身状態の安定にもつながります。

 

口腔機能低下予防と改善

よく噛んで食べると、消化がよくなり栄養分を効率的に吸収することができ、栄養状態が良くなります。また、よく噛むことは脳の刺激になり、寝たきりや認知症の予防にも役立つと言われています。口腔機能が良好な状態を保つことは、様々な効果をもたらします。

 

また入れ歯が合わない、口内炎などのトラブルがある場合はしっかりと治療します。よく噛んで食べるとこ、口や舌を動かす運動を行うことで口腔機能の改善につながります。さらに、口腔機能の改善は、むせや誤嚥の予防にもなります。

 

唾液の分泌を促す

高齢になると唾液の分泌が低下し、口腔内が乾燥しやすくなります。口の中が乾燥すると、口臭が強くなったり、舌の表面がひび割れの原因となります。食べ物がしみる、飲み込みにくくなる、食事が思うように取れなくなるなどの恐れがあります。

 

また、口腔内にトラブルがあると話しにくくなってしまい、コミュニケーションが取りにくくなることもあるのです。口腔ケアをしっかり行い、さらに口や舌の運動を行うことにより、唾液の分泌が促されます。

介護施設で行われる口腔ケア

介護施設で行われる口腔ケアはどんなものでしょう。介護施設にはさまざまな状態の人が入所しています。麻痺がある人、口を開くことができない人、認知症がある人などさまざまですが、その人に合わせた口腔ケアを実施できるよう工夫し支援しています。

 

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また、歯磨きなど自分でできることは自分でやるよう促しています。さらに、口腔ケアが効果的に行われるよう体制を整えている介護施設もあります。

 

口腔衛生管理体制

歯科医師や歯科衛生士が月に1回以上、介護士に口腔ケアの指導を行い、口腔ケア・マネジメント計画が作成され、この計画に従って口腔ケアが実施されます。この管理体制のある施設では、口腔ケアが充実しているということができます。

 

口腔衛生管理

歯科医師の指示のもと、歯科衛生士によって月4回以上の口腔ケアを実視します。入所者一人ひとりの口腔内の問題点を明らかにした上で、適切な口腔ケアが行われます。歯科衛生士という口腔ケアのプロが行うことで、さらに充実した口腔ケア受けることができます。

介護施設と口腔についてのまとめ

介護施設において高齢者が口腔ケアを行うことは、高齢者に多い誤嚥性肺炎の予防になります。また口腔ケアによって口腔機能が改善され、認知症や寝たきりの予防にも役立つと言われています。

 

歯科医師と連携して口腔ケアに関する計画を立てて、口腔衛生管理体制をとっている介護施設や、歯科医師の指示のもと、歯科衛生士が入所者に対し口腔ケアを実施している口腔衛生管理を行っている介護施設もあります。

 

このように介護施設で行われる口腔ケアは、高齢者にとってとても大切なものです。

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